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屋根に求められる機能、それは「雨を漏らさないこと」である。

屋根は最も自然にさらされ対峙する部位だから、葺材に求められる性能(対候性、耐水性、耐火性、断熱性、施工性)も必然的に厳しくなる。そのためには防水面から見て無理なデザインをしない!しかし、デザインの誘惑に負けないのは至難の技なのである。


……「雨、露をしのぐ」本来の機能を優先するなら、矩形の平面を覆う単純な切妻式の屋根がいちばん。

しかし単純は良いが単調ではデザイン的につまらない。

木造建築において、瓦屋根はその重量が「木組」全体を頂部から押え込むという役割を果たしてきたし、重量感のある「甍」がつくる景観は日本美の象徴でもあった。しかし現代では「木組」は基礎に緊結するように規定されたため、瓦の重さは意味を失った。いや、むしろ地震時の荷重と考えればマイナス要因ともなる。現代は軽量化と同時に軽快な屋根の景観が求められている。

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濱口邸では2種類の葺き材を組み合わせた。葺き材を決定したのは“現代性”であった。「伝統と対峙する/軽い」をデザイン面から表現するのに適する葺き材として特殊鋼板(カラーステンレス)が選び出された。屋根勾配1寸、タテハゼ工法を採用……甍の景観が続く周辺との

雰囲気を無視できずタテハゼ部分に素丸瓦を載せた。